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● 0004・「ツングース事件」
先週に引き続き、地球に落下する天体がもたらした大騒動についてご紹介し ます。 1908年6月30日明け方、シベリア中央部のツングスカ川の近くで史 上まれにみる大事件が起こりました。今日それは「ツングース事件」とか「ツ ングスカ大爆発」と呼ばれているものです。 まばゆい閃光と共に、耳をつんざくような大音響が約1200キロにわたって響 きわたり、中心地から半径450キロ以内の家の窓ガラスはことごとく破壊され ました。1万キロ離れたイギリスでは、真夜中というのに空が明るくなり、新 聞が読めるほどだったと記されています。そして、この時の衝撃波は地球を一 回りして全世界の気象台で記録されたといいます。 現地は、人里離れた未開の地だったために、当時ソ連アカデミーのクーリッ クが率いる調査隊がそこを訪れたのは、1926年2月のことでした。そこで彼ら の見たものは、直径10キロにもわたり黒こげになった樹木、数十キロにもわた り放射状になぎ倒された樹林の姿でした。19年を経た現場は、なおも過去の出 来事のすさまじい様子を物語っていました。 クーリックは、これが、隕石の落下によるものと信じ、生涯をかけてその調 査に打ち込みました。隕石落下の証明となるのは、もちろん、落下したはずの 隕石本体を見つけることです。しかし、現地には石灰質の地質が作り出すすり 鉢状の地形が多数存在していました。それが、クレーターに酷似していたため にクーリックは長い間その地形の調査に時間を費やしたのでした。 作業はいたずらにクーリックの体力を消耗させたにに過ぎませんでした。た び重なる調査にも関わらずクーリックはそこに隕石のかけらも見つけることが できなかったのです。 後に、ツングスカ大爆発の原因は、小さな「彗星」の破片の衝突が原因では ないかとされました。チリと氷の固まりである彗星の衝突は、大気中で大爆発 を生じ、跡形もなく蒸発してしまったというのです。 沼澤茂美
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