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BSNラジオ「ふるさと散歩」
現在の落下地点の様子(GoogleEarthより)
北緯60°55'4.96"N
東経101°56'56.00"
「にいがた星紀行」に掲載しています
0004・「ツングース事件」
 先週に引き続き、地球に落下する天体がもたらした大騒動についてご紹介し ます。  1908年6月30日明け方、シベリア中央部のツングスカ川の近くで史 上まれにみる大事件が起こりました。今日それは「ツングース事件」とか「ツ ングスカ大爆発」と呼ばれているものです。
 まばゆい閃光と共に、耳をつんざくような大音響が約1200キロにわたって響 きわたり、中心地から半径450キロ以内の家の窓ガラスはことごとく破壊され ました。1万キロ離れたイギリスでは、真夜中というのに空が明るくなり、新 聞が読めるほどだったと記されています。そして、この時の衝撃波は地球を一 回りして全世界の気象台で記録されたといいます。
 現地は、人里離れた未開の地だったために、当時ソ連アカデミーのクーリッ クが率いる調査隊がそこを訪れたのは、1926年2月のことでした。そこで彼ら の見たものは、直径10キロにもわたり黒こげになった樹木、数十キロにもわた り放射状になぎ倒された樹林の姿でした。19年を経た現場は、なおも過去の出 来事のすさまじい様子を物語っていました。
 クーリックは、これが、隕石の落下によるものと信じ、生涯をかけてその調 査に打ち込みました。隕石落下の証明となるのは、もちろん、落下したはずの 隕石本体を見つけることです。しかし、現地には石灰質の地質が作り出すすり 鉢状の地形が多数存在していました。それが、クレーターに酷似していたため にクーリックは長い間その地形の調査に時間を費やしたのでした。
 作業はいたずらにクーリックの体力を消耗させたにに過ぎませんでした。た び重なる調査にも関わらずクーリックはそこに隕石のかけらも見つけることが できなかったのです。
 後に、ツングスカ大爆発の原因は、小さな「彗星」の破片の衝突が原因では ないかとされました。チリと氷の固まりである彗星の衝突は、大気中で大爆発 を生じ、跡形もなく蒸発してしまったというのです。     沼澤茂美


1930年クーリックらの観測隊によって撮影されたチェルギムの河口近くフシマ川の左岸


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