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BSNラジオ「ふるさと散歩」
東の空高く輝く織り姫星(ベガ)と夏の天の川
■七夕の話題については「にいがた星紀行」にも掲載されています。

0014・「七夕の星空」

 先週の放送で、今日はツングスカ大爆発の続編を放送する予定でしたが、せっかくの7月7日ですので、七夕の話題をお話ししようと思います。
 私たちにとっては、七夕は夏の到来を告げる行事のように感じられますが、明治6年に暦が太陽暦に変わる前までは旧暦の7月7日の行事でしたので、実際は立秋以降の行事でした。立秋は現在の暦で8月7日頃に相当します。そのためお盆の関連行事として七夕が行われており、笹かざりは帰ってきた先祖の霊が宿る場所と考えられていました。
 現在でも旧暦にあわせて月遅れの8月に行事が行われるところもたくさんあります。日本古来のまつりの内容は、先祖の霊をまつって豊作を祈願するものがおおく、県内にも同様のイベントが見受けられます。
 ところで、旧暦は月の満ち欠けを用いた暦でしたので、7月7日の月は必ず「上弦の月」が輝きます。毎年この日は太陽が沈んだときに半月が真南の空に輝いていました。半月はかなりの明るさで輝いていますので、月が出ている間は天の川を見ることはできません。ただ、この頃の月はとても低い位置に輝いていて、9時半頃には沈んでしまいますので、その後は美しい夏の天の川を楽しむことができたでしょう。
 ちなみに今日の月齢は残念ながら満月です。満月は一晩中空を照らしているので、晴れたとしても天の川を見るのは不可能です。満月を過ぎた月は次第に月の出が遅くなり、17日頃には夜半まで月は出てきません。それから半月くらいは、そんなに遅くない時間に天の川が楽しめそうですね。
郊外の澄んだ空気のもとで、人工の光の少ないところであれば、空は暗く天の川もはっきり見えるでしょう。今ですとほとんど真上の空に輝く明るい純白の星が「織り姫星」、西洋ではこと座の「ベガ」です。そして天の川を挟んで少し南に輝く明るい星が「彦星」、わし座の「アルタイル」。この二つの星を探すだけでも、夏の夜空はぐっと身近に感じられます。
沼澤茂美


ベガ付近から南の地平線に注ぎ込む夏の天の川


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